Aura Tec Technology 株式会社オーラテックの製品開発STORY

代表取締役:江口俊彦

オーラテック代表の江口です。
当社は福岡県久留米市に本社を置き、専業となるマイクロバブルやナノバブルの技術開発、
それらの技術を応用した商品の開発から製造までの全てを国内で行っている企業です。
その中でも「マイクロバブル」シャワーヘッドにつきましては2008年に初代となる「ピュアブル」の販売を開始し、
2011年からは2代目となる「ピュアブルII」の販売を行っています。
そこで本節では、「ピュアブル」が誕生するまでに至った経緯についてお話ししたいと思います。

マイクロバブルとの出逢い

1997年ですから今から随分と昔の話になりますが、その当時の会話が「マイクロバブル」と出逢うきっかけでした。場所は建設省(現在の国交省)のとある出先機関。担当職員と雑談をしている中、私は「ここは阿蘇山が近いので、水が綺麗でしょう。」と切り出しましたが、担当職員は「県内のほとんどの家庭では、水道より井戸水を使っているところが多いです。ただ近年は地下水も一昔前のように豊富ではなく、水質も年々悪くなっているんです…。」と意外な言葉が返ってきたのです。帰路の車中、その時の会話を思い出しながら車を運転していると、ふと幼いころの懐かしい光景が蘇ってきました。

その光景とは夏の水遊びです。生まれが福岡県の柳川市(水郷柳川と呼ばれています)ということもあり、夏は川で遊ぶのが一番の楽しみでした。当時、私が小学校の5年生位までは学校にプールなど無く、夏になると朝早くから日が暮れるまで一日中川遊びをしていました。しかし、その綺麗だった川も私が小学校の高学年になる頃には、環境の変化によって泳げなくなり、小学校や中学校には徐々にプールが作られていきました。私は当時の光景に想いを馳せる中で「あの昔のような綺麗な川に戻せないものか…」と、素朴な考えが浮かびました。その時巡り逢ったのが「マイクロバブル」です。薬品など一切使うことなく「マイクロバブル」という微細な空気の泡だけで水が綺麗になる。この言葉こそが自分の中での衝撃的な出逢いであり、当時の仕事を辞めてまで「マイクロバブル」の技術開発にのめり込んでいった、とても大きな転機でした。

マイクロバブルへの挑戦

幼い頃から水遊びが大好きだったこともあり、川面を流れる水の動きは自分の中の感覚(常識)の一部のようになっていました。そこで、その感覚だけを頼りに来る日も来る日も「マイクロバブル」を生み出すノズル作りに没頭しました。しかしながら、流体の初歩的知識もない私にとってのノズル作りは試行錯誤の連続で、ホームセンターで買ってきた安物のドリルを使って試作したノズルは数百、ある時は一つのノズルを作るのに15時間以上を要したこともありました。しかし、その甲斐あって何とか「マイクロバブル」を発生させることのできるノズルが完成しました。

ただ、これで終わりではありません。「マイクロバブルで本当に水が綺麗になるのか?」この事を自分の目で確認しなければいけませんでした。そこで公共の池を管理している事務所に事情を説明し、有難いことに「マイクロバブル」による浄化を目的とした実験用の池としての使用を認めて頂きました。工事に必要な費用は全て自費で負担し、池の規模は400坪(約1,300㎡)ほどありましたので、数百万円の出費になりましたが、池の縁に腰をかけて、日に日に水が綺麗になっていく様子を見ていると、今までの苦労も忘れ何とも言えない満足感で胸が一杯になったことを、今でも昨日のことのように覚えています。

▲マイクロバブルを発生させる試作品の数々

▲公共の池で実験中の様子

突き付けられた現実が新たな技術を生む

そもそも、自分の好奇心から開発を始めた訳ですが「マイクロバブル」に熱中するあまり、それまでの仕事を辞めたこともあり、いつしかこの技術で食べていかなければならない状況になっていました。ですが、当時は「マイクロバブル」自体、まだ一般的にはほとんど知られていない技術でしたので、池を管理する自治体に「マイクロバブル」による浄化の提案をしても残念ながら受け入れていただく事は出来ませんでした。

振り返れば自分よがりの価値観だけで当時はただ、がむしゃらに突っ走っていたのです。それからは「果たしてこれで食べていけるのだろうか?」この不安を払拭するために「マイクロバブル」が使えそうな様々なシチュエーションを想定し、来る日も来る日も開発に没頭しました。没頭するというと聞こえは良いのですが、目標はあるけれど具体的に何をすればいいのか分からないので黙々と開発を続けていたというのが正直なところです。しかし今になって思えば、この時に費やした途方もなく無駄にさえ思えた時間が、今となっては現在の技術ノウハウの礎になっています。また、くじけそうになった時でも綺麗になった池を見ると随分勇気づけられたものです。

▲当社独自の技術による特許を多く取得

マイクロバブルシャワー「ピュアブル」の誕生

私たちは「マイクロバブル」の研究・開発をさらに推し進めながら、産業用の装置や学術・企業の研究機関用の装置の製造販売のみで生計を立てていました。そんな中、2007年に転機が訪れます。県内の動物病院さまから「マイクロバブル」を使った「犬用のお風呂」のご依頼があったのです。私たちは犬は敏感肌なので、お風呂の中に「マイクロバブル」を発生させ、その力で優しく綺麗に洗ってあげたいとの想いを胸に製作を開始しました。完成した装置を使った院長先生は「これは汚れも良く落ちるし素晴らしい!犬は皮膚病の子が多いので、こんなお風呂があればみんな喜びますよ!」ありがたくも、このようなお褒めの言葉をいただきました。

この時の一言が「ピュアブル」開発のきっかけとなったのです。ただ、それまではポンプを使った「マイクロバブル」発生装置でしたが、家庭用のシャワーは水道(井戸)の圧力だけで「マイクロバブル」を発生させなければなりません。水道の圧力は高い所もあれば低いところもあり、個々のご家庭によって大きく異なります。また、湯沸器が使える最低圧力は概ね0.04Mpa位ですので、シャワーでも同程度の圧力で「マイクロバブル」を発生しなければ製品化はできません。初めての家庭向け商品だったこともあり試行錯誤も多くありましたが、この難問を解決してくれたのは無駄と思えた途方もない開発の中で得られた、たくさんの経験でした。そして、それまでの経験が糧となり、当社独自の特許技術によって「マイクロバブル」を発生する家庭用シャワーヘッド「ピュアブル」が誕生したのです。

▲マイクロバブルを使った犬用のお風呂

▲MNB技術により誕生した「ピュアブル II」

さらなる技術開発へ〜SFNEについて〜

SFNE(Surfactant free nano emulsion)とは、本来混ざらない水と油などを界面活性剤などの乳化剤を使用することなく片方の液体を単分散のナノ粒子にすると同時にゼータ電位を高めることで、長期間にわたり安定混合させたことを特徴とするエマルションです。SFNEのように界面活性剤などの乳化剤を使用せずに水・油を安定混合させる技術は、医薬品をはじめ化粧品や食品などの新製品開発が可能となるため、日本はもとより世界中で長年研究されてきましたが、昔から水と油の喩えがあるように「SFNE」技術が開発されるまでは水と油を、界面活性剤を使わず長期にわたり安定混合させるということは理想であり、不可能とされた技術でした。

オーラテックでは2009年から、永年研究開発を行ってきた「マイクロ・ナノバブル技術」の経験を基に、未だ確立されていない「SFNE」の技術開発に着手。MNBは液体と気体で生成されますが、SFNEは液体と液体ですので、傍目には似通ったところがあるように思えますが、浮上・溶解する「MNB」とは違い「SFNE」は、熱力学的に不安定なエマルションに長期の安定性が求められますので、開発には多くの試行錯誤を伴いました。しかしながら、本開発を通し液体の微粒化という新たな経験を積むことが出来ましたことは研究者としてこの上ない喜びです。

更なる安全が求められる昨今、SFNE技術によって防腐剤や乳化剤などを一切使用することなく椿油と水だけで作ったヘアケアローション「椿なの」はお陰様で2010年に商品化に至りました。本商品は油が入っているにも関わらず全くベトつかない事や昨今の自然派志向の高まりを受け、想像以上の高い評価をいただいておりますことを、大変ありがたく感じております。

▲不可能を可能にした当社のSFNE技術

▲SFNE技術により誕生した「椿なの」シリーズ

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